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「2022年危機」がついに到来
今後さらに加速する高齢化が健保組合を襲う

団塊の世代が75歳(後期高齢者)に到達し始める2022年。高齢者医療制度への納付金負担急増により、健保組合の財政悪化は避けられません。さらに2025年には、団塊の世代がすべて75歳以上となり、健保組合にとって厳しい状況が続く見込みです。

現役世代が高齢者医療のために支払う「納付金」

「納付金」は、高齢者医療制度のために健保組合が国へ支払うお金です。主に、前期高齢者(65〜74歳)の加入者が多い国民健康保険の財政支援として納める「前期高齢者納付金」と、後期高齢者(75歳以上)の医療費支援として納める「後期高齢者支援金」の2つがあります。高齢者の医療費は社会全体で支えるという観点から、健保組合は国が定める計算式に基づいた金額を納めなければなりません。

後期高齢者支援金の急増で現役世代の負担は限界に

わが国の高齢化は、世界に類を見ないスピードで進行しています。人口のボリュームが多い団塊の世代が2022年から後期高齢者となり始めることで、健保組合の納付金負担が急増する「2022年危機」がついに到来します。
2040年には、65歳以上の人口が約4000万人(35.4%)にまで増加し、約3人に1人は65歳以上となる見込みです。一方で、国民皆保険制度の支え手である現役世代の人口は長期的に大幅な減少が続き、健保財政のさらなる悪化が危惧されています(図1)。
健康保険組合連合会(以下健保連)の報告によると、後期高齢者医療制度が創設された2008年以降、後期高齢者の保険料額の推移がほぼ横ばいなのに対し、現役世代の支援金保険料相当額は2019年までに約2倍となっています(図2)。さらに、後期高齢者支援金は2022年から2025年までの4年間で累計約3・2兆円増加すると推計されており、今後も支援金の増加に歯止めがかかりません(図3)。2022年10月より後期高齢者(一定所得者)の2割負担が実施される予定ですが、その抑制効果額は4年間の累計で▲3100億円と十分ではありません。

図1 年齢別人口の推移(推計)
※出典:国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成29年推計)」より作成

図2 負担額の伸び率(2008年度=100)
図3 後期高齢者支援金の推移(推計)
※『安全・安心な医療と国民皆保険制度の維持に向けて』参考資料(健保連)より作成

国民皆保険制度の持続性確保に向けた取組みが急務

健保連はこうした状況を受け、2割負担の早期実施とともに、低所得者を除き2割負担とするなど継続的な検討が必要であると訴えています。そして、国民皆保険制度の持続性を確保するためには、医療費の増加抑制や現役世代に過度に依存する制度から全世代で支え合う制度への転換、社会情勢の変化等を考慮しつつ世代間のアンバランス是正により現役世代の負担軽減を図ることなどが喫緊の課題であると主張しています。

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